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子宮頸癌:ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン2回接種でも3回接種と同等の効果

子宮頸がんの新規発症数は世界で毎年約50万人に上り,このがんによる死亡者は毎年約25万人といわれています。これらの大半は,医療資源の乏しい国が占めています。

2価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(商品名サーバリックス)の2回接種は,現在標準とされている3回接種と比べても,追跡期間4年の時点で有効性は同等であったことが論文報告されました(Journal of the National Cancer Institute(2011; オンライン版)。

子宮頸がんの原因はHPVへの持続感染による慢性炎症と考えられています。特に発がん性のHPV16型と18型による感染が約70%を占めています。

HPV16,18型に対する感染予防として現在,サーバリックスを含めた2種類のワクチンが米食品医薬品局(FDA)から承認されています。サーバリックスは通常,6カ月間に3回接種します。先行研究から,同ワクチンの感染予防効果は最長8年まで観察されていますが,現在もその持続期間に関する研究が続けられているようです。

今回コスタリカでサーバリックスの有効性を試験した結果を報告しています。しかし、子宮がんの発症には、栄養を含めた生活習慣、環境、遺伝的要因の違いが複雑に絡んでいます。何回、接種したらよいかは(接種の是非は別として)試験する集団の特性に左右されるのではないでしょうか。有益な論文とはいえないですね。

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→今回のコスタリカでの試験は,サーバリックスの有効性を地域ベースで評価する目的で実施された。この試験では,18〜25歳の女性を(1)サーバリックスを接種する群(サーバリックス群)(2)A型肝炎ワクチンを接種する群(対照群)—のいずれかにランダムに割り付けた。当初の予定では,7,466例すべてに,割り付けたワクチンを3回接種することになっていたが,参加者の約20%はHPVワクチンまたは対照ワクチンの接種を1回または2回しか受けなかった。最終的な内訳は3回接種5,967例(サーバリックス群2,957例,対照群3,010例),2回接種802例(同422例,380例),1回接種384例(同422例,380例)であった。

解析の結果,追跡期間4年の時点で,サーバリックスのHPV16,18型感染予防効果は3回接種80.9%,2回接種84.1%,1回接種100%であった。この結果から,同ワクチンの予防効果は3回接種と2回接種で同等であることが分かった。1回接種で高い予防効果が認められたが,このタイプのワクチンでは一般に,免疫増強のため追加接種が必要である。


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