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多くの十代女児はHPVワクチンがすべての性感染症リスクを低減すると誤解

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを受ける女児4人のうちほぼ1人が、他の性感染症(STD)リスクも低減すると誤解していることが、新しい研究で示されました(Archives of Pediatric and Adolescent Medicine 2012年1月号)。

このような誤った考えが広がってしまうことで、逆に性感染症が増加する可能性があります。

HPVのあるタイプのものは性器疣贅(ゆうぜい=いぼ)や子宮頸癌(がん)のリスクを高めるとされています。米国では現在、性器いぼに関係する2タイプのHPVおよび子宮頸癌に関係する2タイプのHPVを防御する4価HPV様粒子ワクチン(商品名:ガーダシル)と、子宮頸癌に関係する2タイプのHPVを防御する2価HPV様粒子ワクチン(同:サーバリックス)が認可されています。

研究共著者の一部はガーダシルを製造しているメルク社の研究助成金を受け、1人は欧州で同薬を販売しているサノフィ・パスツール社に助言を与えていることを開示しています。

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→今回、3回必要なワクチン接種の1回目を終えた平均年齢ほぼ17歳の女児399例とその母親を対象に、接種後のHPV感染に対する知覚(理解度)リスク、他のSTI感染に対する知覚リスク、より安全な性行動を継続させるための知覚ニーズを調べた。女児の60%近くに性経験があった。

調査の結果、大多数の女児はHPVワクチンには、HPV以外のSTIに対する防御効果はないと正しく考えていたが、24%はワクチン接種後に梅毒や淋病など他のSTIリスクも低下すると誤解しており、ワクチンやHPV感染に関する情報の持ち合わせがより低かった。同氏らは「HPVワクチンについて女児およびその保護者と話し合う医師がワクチンの限界を強調し、特にHPVワクチンは他のSTIを予防しないことを述べておく必要がある」としている。

医学誌「Archives of Pediatric and Adolescent Medicine(小児・思春期医学)」1月号に掲載された今回の研究は、米国立衛生研究所(NIH)の資金援助を受けて実施された。研究共著者の一部はガーダシルを製造しているメルク社の研究助成金を受け、1人は欧州で同薬を販売しているサノフィ・パスツール社に助言を与えていることを開示している。

米ワシントン大学エイズ・性感染症センター(シアトル)内科教授のH. Hunter Handsfield氏は、「HPVワクチンにより他のSTIから防御されると考える女児が24%に過ぎないのはかなり良い結果である。ワクチン接種時には、医師は女児に、HPVワクチンがすべてのSTIを防御するのではないこと、性行為の際はコンドームなどのより安全性の高い方法を用いることを明確に伝える必要がある」と述べている。


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