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子宮頸がんスクリーニング:人種・民族差を考慮したモデルで公平かつ費用効果に優れる戦略を同定

人種・民族間の格差を考慮した子宮頸がんスクリーニングの費用効果シミュレーションモデルを用いることで,こうした格差が是正されるだけでなく,全体的ながんのリスクも低減し,費用効果にも優れる戦略を同定できたことが論文報告されました(Journal of the National Cancer Institute(2011; 103: 1373-1386)。

がんの発症率と死亡率の低減に有効で費用効果の高い戦略を定める際には,疾患シミュレーションモデルが用いられます。しかし,こうしたモデルではサブグループ別に見た場合,その戦略による健康便益が各サブグループにどのように分配されるかが考慮されていないことが指摘されていています。これに対し,コンピュータによるモデル作成技術の進歩や利用可能なデータの質の向上を背景に,サブグループ間に健康格差をもたらす因子をモデルに組み込むことも可能になってきました。

今回の研究では,こうしたシミュレーションモデルに基づく費用効果分析にサブグループ間の健康格差を組み入れる枠組みを導入するため,まず米国のアフリカ系米国人,白人,ヒスパニック系の間に見られる“がんの医療格差”を治療アクセスや治療の質,予防の質など格差の原因因子ごとに分けた類型を考案しました。次に,この類型に基づき子宮頸がんのスクリーニングとワクチン接種に関する5つの戦略を評価。米国の平均的集団と人種的に異なる3集団を対象にこれらの戦略を実施した場合の健康および経済的アウトカムを推定しました。

その結果,いずれのスクリーニング戦略も,全体的な子宮頸がんリスクの低減に寄与することが分かりましたが,子宮頸がんリスクリスクの低下度は人種間で異なることが明らかになりました。例えば,現行のスクリーニング法では全体的に同リスクが60%低下しますが,低下度はヒスパニック系女性で54.8%,白人女性で62.5%と差がありました。

また,人種的マイノリティーのスクリーニング受診率を全人口の平均レベルまで高めるなど,人種間に格差を生み出している原因に焦点を絞ったスクリーニング戦略を採用し,これにヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を組み合わせることで,格差が大幅に是正されることが分かりました。

このような子宮頸がんスクリーニング戦略を導入すれば,子宮頸がんリスクの低下度は白人女性で69.7%,ヒスパニック系女性で70.1%となりました。さらに,この戦略は現行のスクリーニング法と比べて有効性が高いだけでなく,費用も削減できることが分かりました。

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