進行子宮内膜がんの新治療薬:PARP阻害薬が有望
進行子宮内膜がんの治療において、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬が現行の標準治療に代わる可能性を秘めていることが論文報告されています(Science Translational Medicine 2010; 2: 53ra75)。
同薬は、がん細胞のDNA修復機構を阻害することにより、がん細胞の細胞周期を遅延させ、細胞死をもたらします。ただし、同薬が効果を発揮するのは、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)遺伝子を欠失している細胞においてのみです。子宮内膜がん患者の大半はPTEN遺伝子が機能不全であることから、同薬が子宮内膜がん患者に有効である可能性が高いと考えられています。
今回の論文では、ペトリ皿で増殖させた細胞を用いて、PARP阻害薬ががん細胞の増殖をどのように阻止するのか、正確な機序の解明を試みられました。
PTEN遺伝子を欠いた子宮内膜がん細胞は、相同組み換えを用いたDNA二重鎖切断の修復ができません。相同組み換えによってDNAの修復ができなくなったがん細胞は、コピーミス率がはるかに高い予備的な修復方法に頼ることになります。PARPはもう1つのDNAエラーである一重鎖切断の修復において、重要な役割を果たす酵素の1つで、一重鎖切断は、修復されないと最終的に二重鎖切断となります。
今回、がん細胞をPARP阻害薬で処理すると、二重鎖切断を起こしたDNAを蓄積することを見いだしました。もし、これらの細胞がPTEN遺伝子を欠いていれば、その細胞は相同組み換えによるDNA修復が不可能となり、PARPが誘導したDNA二重鎖切断は、エラーの多い機構による修復を受けることになります。その結果、遺伝子エラーが蓄積され、最終的にがん細胞は死滅することになります。
子宮ガン細胞に特異的に働けばよいですが、今後は全身の副作用の評価が必要となるでしょう。
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