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検診後即治療で子宮頸がんを予防

南アフリカの女性を対象に子宮頸がんの新たな予防法の有効性を検討するランダム化試験を実施。ヒトパピローマウイルス (HPV)DNA検査または子宮頸部の視診を行った後、陽性であれば直ちに凍結療法を施行した女性では、追跡期間中に子宮頸がんの前がん状態の発見率が対照女性より統計学的に有意に低かったことが論文報告されました(Journal of the National Cancer Institute(2010; 102: 1557-1567))。

発展途上国、特にサハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、医療資源が限られるため細胞診スクリーニングの実施は事実上不可能である。これを補うため、HPV-DNA診断や子宮頸部の視診(VIA)といったスクリーニング法が開発されました。

これらの方法は、細胞診で必要とされる高度の検査施設を必要せず、病変が発見されれば直ちに治療を行うことができます。細胞診に基づかない方法でスクリーニングを行い、陽性結果が得られれば直ちに治療するア プローチは“screen-and-treat”と呼ばれます。

今回、HPV-DNA検査やVIAによるスクリーニングが子宮頸がんを減少させるか否か検討するため、スクリーニングを受けていない南アフリカの女性6,637例(35〜56歳)をランダム化試験に組み入れました。

これらの女性はHPV-DNA検査とVIAを受けた後、(1)HPV- DNA陽性者に凍結療法を行うHST群(2)VIA陽性者に凍結療法を行うVST群(3)今後6カ月間いかなる検査も治療も行わない対照群-のいずれかに ランダムに割り付けられました。36カ月間フォローアップし、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)分類で2以上の病変(CIN2+)の有無を調べられました。

その結果、子宮頸部上皮内腫瘍CIN2+の発生率は、36カ月のフォローアップ期間終了時にHST群1.5%、VST群3.8%、対照群5.6%でした。HPV-DNA検査に基づく子宮頸がんの“screen-and-treat”は極めて有効で、CIN2+の発生を長期間抑制することができると結論づけられました。子宮頸がんの前がん状態の発見率は、視診だけで凍結療法を行った場合でも未治療とは差がでたようですが、いずれにせよ数%の差です。統計学的に有意であったといいますが、子宮頸がんの前がん状態の発生率そのものが低いため研究の意義はそれほど大きくはないでしょう。

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