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子宮体がんのホルモン療法:正常分娩で出産

子宮体がんに対する単純子宮全摘出、両側付属器切除の標準的治療を行った場合の予後は比較的良好ですが、妊娠・出産を犠牲にしなければなりません。子宮を温存するには薬物療法などを選択しなければなりません。とくに日本では若年子宮体がん患者の増加が認められているため、手術治療以外の子宮体がん治療が望まれています。

メドロキシプロゲステロン(MPA)によるホルモン療法について、厚生労働省がん研究助成金、婦人科腫瘍グループが行った前方視的多施設共同試験の結果が報告されました。

40歳以下の臨床的にTa期と考えられる高分化型腺がんもしくは内膜異型増殖症で、妊孕性温存を望む症例を対象にMPA 600mg/日を26週間連日経口投与し、病巣消失率、毒性、無再発率、その後の妊娠率を調べました。

MPA療法後の妊娠経過を最終治療例から5年間追跡した結果、病巣が消失し、妊娠を希望した20例のうち12例に15妊娠(双胎2例含む)が得られ、9例が出産に至りました。妊娠例のうち自然妊娠は2例のみで、ほかは体外受精8例を含めた不妊治療によるものでした。

また、5年間の経過観察中、寛解症例30例のうち15例(50%)が再発しました。MPA投与終了から再発までの期間の平均値は18.9か月で、特に不妊治療開始後の経過観察時に再発が見つかることが多い結果でした。

以上の結果からは、比較的早期の子宮体がんでもホルモン療法では約半数が再発しますが、妊娠は可能という結果と判断できます。最終的にはこの結果をどう自分にあてはめるかを考えなければなりません。

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→全国16施設から47例が登録されたが、中央病理診断によって2例が除外され、対象は45例。平均年齢31.7歳(22〜39歳)、平均BMIは 22.8(16〜32.7)。全患者に妊娠歴がなく、体がん発見の経緯は、不正性器出血17例、不妊症を主訴とした受診をきっかけに発見された症例11例。プロトコル治療中に温存を断念した6例を除く39例が治療を完遂した。

MPA療法の病巣消失(CR)率は、類内膜腺がん(EC)55%、子宮内膜異型増殖症(AH)82%で、全体のCR率は67%であった。血栓塞栓症など重篤な副作用は見られなかった。

MPA療法後の妊娠経過を最終治療例から5年間追跡した結果、病巣が消失し、妊娠を希望した20例のうち12例に15妊娠(双胎2例含む)が得られ、9例が出産に至った。妊娠例のうち自然妊娠は2例のみで、ほかは体外受精8例を含めた不妊治療によるものであった。

また、5年間の経過観察中、寛解症例30例のうち15例(50%)が再発した。MPA投与終了から再発までの期間の平均値は18.9か月で、特に不妊治療開始後の経過観察時に再発が見つかることが多かった。再発例のうち9例にMPAが再投与され、8例が再び寛解に至ったが、うち7例は再々発を来した。

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